
AQL抜取検査の進め方|JIS Z 9015の検査水準を受託側で決める
AQLだけでは抜取数も合否判定も決まりません。ロットの区切り、検査水準、抜取方式、欠点区分、顧客指定を揃え、適用する規格の正規版で確認します。AQLを完成品の単純な合格率やロット全体の保証値とみなすと、同じ数値でも異なる条件の検査を混在させることになります。安全に関わる項目は抜取検査へ一律に含めず、法令、顧客基準、製品リスクに応じて別の確認方法を検討します。
この記事では、ODMが数値を独断で決めず、ブランド指定と工場・検品会社の実行条件を五点合意へまとめる手順を示します。JISの数表、抜取数、合格判定数、不合格判定数は転載せず、規格の現行性、正規版、顧客の承認版を確認する運用に絞ります。
AQLは、抜取検査の方式を設計・運用するときに用いる品質水準の指標です。ロット全体の品質を保証する単独の合格率ではありません。
AQL抜取検査を先に理解する

AQL抜取検査は、定めた条件のもとでロットから一部を抜き取り、規格の方式に沿って合否を判定する考え方です。検査していない個体を含むロット全体の無欠点や安全性を保証するものではありません。
AQLで分かること・分からないこと
QTECのAQL解説では、AQLを抜取検査で用いる手法として説明し、ロット数だけでなくAQL、検査水準、検査の方式に関する条件が必要だと示しています。実務では、対象ロットと適用条件を揃えたうえで、規格表から抜取数と合否条件を確認します。
| AQLで扱う問い | AQLだけでは決まらないこと |
|---|---|
| 定めた抜取方式でロットをどう判定するか | ロットをどこで区切るか |
| 欠点区分ごとの判定条件をどう適用するか | 何を欠点とし、どの区分へ入れるか |
| 規格表をどの入力条件でたどるか | 顧客がどの規格・版・条件を指定するか |
| 抽出した試料の結果をどう扱うか | 未検査個体を含むロット全体の無欠点保証 |
AQL値を出来高不良率の目標値として単独管理したり、「この割合まで不良を入れてよい」と読み替えたりしません。製品に適用する法令・品質要求の全体はアパレル製品法務・品質コンプライアンスと分け、抜取検査で代替できない項目を先に除外します。
全数・抜取・安全項目の使い分け
| 方式 | 適する問い | 決定者 | 参照根拠 | 記録先 |
|---|---|---|---|---|
| 抜取確認 | 定義したロットを定めた方式で判定する | ブランド承認のもとODM・工場等で合意 | 適用規格・顧客指定 | 検査条件・結果記録 |
| 全数確認 | 個体ごとの確認を必要とする項目を扱う | 法令・顧客要求・リスクの責任者 | 法令・顧客基準・リスク評価 | 個体またはロットの実施記録 |
| 工程内管理 | 不良を工程で作り込まない | ODM・工場品質担当 | 仕様・QC工程表 | 工程内記録 |
安全に関わる項目だから常に同じ方法になるわけではありません。法令で求められる確認、顧客が指定する全数確認、製品リスクに応じた管理を別に検討し、AQLによる外観の抜取判定と混ぜないようにします。
全数確認を採用しても、その方法、設備、判定基準、記録を別途定める必要があります。抜取か全数かという二択だけで終えず、工程内管理も含めて、どのリスクをどこで抑えるかを決めます。
判定前に五つの入力を揃える

規格表を開く前に、ロット、検査水準、抜取方式、欠点区分、顧客指定の五点を揃えます。どれかが未決定のまま他案件の表を流用すると、抜取数と判定条件の根拠が変わります。
ロット定義と同一性を確認する
ロットは単なる総数量ではなく、同じ条件で作られ、同じ判定の対象にする範囲として定義します。品番、色、サイズ、工場、製造時期、材料ロット、工程・設備の変更などを確認し、品質条件の異なる製品を便宜上まとめないようにします。
分納や複数工場がある場合は、受注数量や請求単位をそのまま検査ロットにせず、同一性が保たれる範囲をブランド・工場・検品会社と確認します。ロット分割や統合を変えたときは、適用する検査条件も再確認し、変更理由を承認版へ残します。
欠点区分・顧客条件・検査水準を決める
欠点区分は、どの不具合をどの区分で数えるかを定めます。アパレル検品基準書の作り方に沿って欠点の定義、判定写真、測定方法を揃え、同じ現象を検査員ごとに別区分へ入れないようにします。
| 入力項目 | ブランド指定 | 工場・検品条件 | 規格での確認 | 変更時の再承認 |
|---|---|---|---|---|
| ロット | 対象品番・出荷範囲 | 工場・製造条件・分納 | ロット範囲・数量 | 分割・統合・条件変更時 |
| 検査水準 | 指定水準 | 実施可能性 | 適用区分 | 水準変更時 |
| 抜取方式 | 指定方式・切替条件 | 人員・場所・手順 | 適用する表・方式 | 方式・厳しさ変更時 |
| 欠点区分 | 区分・判定基準 | 検査員への共有 | 区分別の条件 | 基準改訂時 |
| 顧客指定 | 規格、版、AQL、例外 | 実行条件 | 正規版との一致 | 顧客条件更新時 |
検査水準や方式は「いつも同じ」で済ませず、顧客指定、製品リスク、適用規格を確認します。ODMは独断で数値を補わず、指定が曖昧ならブランドへ確認し、承認された条件を品番・ロットへ結びます。
JIS Z 9015の表をたどる手順

JIS Z 9015の表は、検索で見つけた簡易表から数字だけを拾わず、適用規格、版、方式、入力条件を確定してからたどります。ここでは数表の値を示さず、確認順だけを整理します。
適用規格・方式から文字記号まで確認する
最初に、ブランド仕様や契約が指定する規格名・版を確認します。次に、ロットの性質、検査水準、抜取方式、検査の厳しさに関する条件を特定し、正規の規格本文に従って対応する文字記号までたどります。単発案件と継続ロット、通常の運用と切替後の運用を同じ表として扱いません。
- 顧客指定の規格名・版・対象を特定する
- ロットと検査水準を確定する
- 抜取方式と適用条件を確定する
- 正規版の対応表で文字記号を確認する
- 該当する数表で抜取数と合否条件を確認する
この順序を飛ばして、ロット数量とAQL値だけを簡易表へ当てはめないことが重要です。文字記号、抜取数、合格判定数、不合格判定数は、使用した規格版と表の条件を一緒に記録します。
正規の最新表で抜取数と合否を確認する
規格の現行性や基本情報は日本産業標準調査会で確認し、利用する正規本文は日本規格協会の規格販売サイトなど正規の入手経路で確認します。ブランドが特定版を指定している場合は、最新版へ独断で置き換えず、指定版と現行版の扱いをブランドへ確認します。
この記事はJIS数表、サンプル文字、抜取数、合格判定数、不合格判定数の具体値を転載しません。社内の簡易表や過去案件の設定は照合用にとどめ、運用時は正規本文と顧客指定を確認します。規格改正、顧客条件、ロット定義、検査水準、方式のいずれかが変わったら再確認します。
受託側の合意と記録を残す

受託側ODMの役割は、ブランドの品質要求と、工場・検品会社が実行する条件を照合することです。数値を独断で設定せず、決定者、確認者、実施者、結果の承認者を分けます。
ブランド・工場・検品会社の役割を決める
ブランドは、適用規格、欠点区分、AQL、検査水準、方式、例外処理を承認します。ODMは条件の不足・矛盾を整理し、品番・ロットへ対応づけます。工場・検品会社は、実施場所、試料の抽出、検査方法、記録様式、異常時の連絡が実行可能かを確認します。
| 役割 | 主な決定・確認 | 残す証跡 |
|---|---|---|
| ブランド | 品質要求・適用条件・例外の承認 | 承認版・変更回答 |
| ODM | 五点の整合、品番・ロットへの割当て | 条件表・確認履歴 |
| 工場・検品会社 | 実施可能性、抽出・検査・記録 | 実施条件・結果記録 |
試験で確認する性能と、外観の抜取検査を混同しません。アパレル試験成績書の読み方で試験条件・結果を確認し、AQL合格を性能試験の合格や製品安全の保証へ読み替えないようにします。
品番・ロット別に承認版を記録する
承認版には、品番、仕様版、工場、ロット定義、欠点区分、適用規格・版、検査水準、方式、顧客指定、承認者、適用日、変更履歴を結びます。アパレル品番管理と仕様書に沿い、似た品番の条件をコピーしても差分を確認します。
アパレルODM HUBは、仕様・品番・パターン・工場・仕入先・見積・PO・発注前条件・製品内の変更履歴を整理するために使えます。試料の抽出、検査、欠点判定、合否判定を実施する機能ではないため、実施結果は工場・検品会社の証跡と対応づけます。
五点合意と品番・工場・発注前条件の版を整理したい方は、資料請求・無料で製品体験から相談できます。検査の実施と、事前条件・承認版の管理を分けて確認してください。
不合格・変更時の扱いを決める

不合格が出た後の処置も、検査開始前に合意します。隔離、追加判断、手直し、再検査、出荷可否を誰が決めるかを分け、検査員が独断で条件を変えないようにします。
隔離・追加判断・エスカレーションを分ける
不合格時は対象ロットを識別・隔離し、検査条件、抽出方法、欠点区分、結果を保存して、ブランド・ODM・工場の責任者へ連絡します。追加確認や再検査を行う場合は、理由、適用する方式、対象範囲、承認者を記録し、都合のよい結果が出るまで抜き直す運用を避けます。
手直し、全数確認、廃棄、条件付き受入れなどの選択肢は、製品リスクと顧客基準に沿って権限者が判断します。この記事では共通の処置順や数量を固定せず、ブランドが承認した例外処理へ従います。
QC工程表と検品基準書へ反映する
不合格の原因が工程内管理にある場合は、縫製QC工程表の作り方に管理特性、基準、確認方法、記録、責任者、異常時処置の変更が必要かを戻します。欠点定義や判定写真が曖昧なら検品基準書を改訂し、抜取方式の変更だけで工程問題を隠さないようにします。
ロット定義、欠点区分、検査水準、方式、顧客指定のいずれかを変更した場合は、五点合意を再確認します。旧版を上書きせず、変更理由、承認、適用対象、適用日を残し、実施済みロットと今後のロットを区別します。
よくある質問
AQLは許容不良率そのものですか。
単純な出来高不良率やロットの保証値と同一視しません。定めたロット・水準・方式・欠点区分・顧客指定と一緒に扱います。
ロット数だけで抜取数は決まりますか。
いいえ。検査水準や方式などの適用条件が必要です。正規版の規格表を、確定した入力条件でたどります。
安全項目にも一律に使えますか。
いいえ。法令、顧客基準、リスクに応じて全数確認等を別に検討します。抜取判定の合格を安全性の保証へ読み替えません。
他ブランドの設定を流用できますか。
要求、商品、工場、ロット条件をその都度確認します。流用する場合も規格版と五点の差分を確認し、当該ブランドの承認を得ます。
この記事のJIS数表だけで運用できますか。
この記事では数表を転載しません。正規の最新版と顧客指定を確認してください。
まとめ|五点合意と正規版の確認を残す
AQLは単独の合格率やロット保証値ではなく、ロット、検査水準、抜取方式、欠点区分、顧客指定を揃えて運用する指標です。JIS数表や抜取数・合否値は正規版で確認し、安全項目は法令・顧客基準・リスクに応じた別の管理方法を検討します。
アパレルODM HUBは、仕様・品番・工場・仕入先・見積・PO・発注前条件・承認版・製品内の変更履歴を整理するために活用できます。検査や合否判定を実施するものではないため、ブランド、ODM、工場・検品会社の決定者と証跡を明確にしてください。
五点合意を品番・工場・発注前条件へ結びませんか。アパレルODM HUBの資料請求、無料での製品体験、料金情報をご案内します。
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